書籍案内
信州人のための幕末史
『信州人のための幕末史』とはどんな本?
通常は、ペリー艦隊来航(1853年)から明治維新(1868年)までの15年間が「幕末」とされています。
しかし、この本ではその範囲を少し広げ、アヘン戦争(1840年)から廃藩置県(1871年)までの31年間を扱っています。
幕末に中央に出て活躍した信州人や、幕末に信州で起こった事件を取り上げて、徳川幕府が崩壊して行く過程を描きます。
取り上げた信州人は、佐久間象山、高井鴻山、真田幸貫など43人。取り上げた事件は、信州浅野騒動、皇女和宮の中山道通行、飯山戦争など50項目です。
「信州人のための」という表題を付けていますが、幕末の全体像を把握するための題材はすべて盛り込んでいます。
この50項目について、一般向け参考書およそ90冊に基づいて説明を進めました。
幕末から明治維新までを総合的に描いた「歴史物語」になっています。
目 次
まえがき
序章 大御所が君臨した時代(天保八年~天保十三年)
序 幕末期における信州の所領
- 1 天保通宝を鋳造した飯田商人の倅
- 2 ロシア船の長崎来航と地役人高島秋帆
- 3 「大塩平八郎の乱」と信州浅野騒動
- 4 イギリス捕鯨船員上陸事件と水戸藩の改革
- 5 アメリカ商船モリソン号事件と「蛮社の獄」
第一章 イギリスの脅威(天保十二年~嘉永六年)
- 6 アヘン戦争を通報したオランダ風説書
- 7 水野忠邦の「天保の改革」とその結末
- 8 松代藩主・飯田藩主の老中就任と象山の海防掛顧問就任
- 9 葛飾北斎を小布施に招いた高井鴻山
- 10 象山の産業振興策と善光寺地震
第二章 アメリカの脅威(嘉永六年~文久二年)
- 11 ペリー艦隊の来航と象山の奔走
- 12 上田藩主の老中就任とペリー艦隊の再来航
- 13 吉田松蔭の下田密航事件に連座した象山
- 14 阿部正弘の「安政の改革」と上田藩士の長崎海軍伝習所入所
- 15 総領事ハリスの着任と上田藩主の老中再任
- 16 堀田正睦の条約勅許奏請とその結末
- 17 密勅降下に奔走した松本商人と「安政の大獄」
- 18 横浜開港と国内産業の不振
- 19 批准書交換使節団の訪米とオランダ留学生の出発
- 20 「桜田門外の変」と皇女和宮の中山道通行
第三章 倒幕派の台頭と暗躍(文久二年~元治元年)
- 21 イギリス公使館を襲撃した松本藩士
- 22 「文久の改革」と伊那谷から上洛した平田派国学者たち
- 23 松代藩の京都出兵と象山の暗殺死
- 24 「禁門の変」と高島藩主の老中就任
- 25 水戸浪士の伊那谷通行と平田派国学者たち
- 26 第一次長州戦争と松代・上田・高遠・松本藩の出兵
第四章 フランスの幕府接近(元治元年~慶応三年)
- 27 蝦夷地の警衛と箱館奉行所
- 28 横須賀製鉄所建設とフランス陸軍教官団招聘
- 29 田野口藩主の五稜郭築城と陸軍総裁就任
- 30 第二次長州戦争と上田・高遠・松本藩の出兵
- 31 長州戦争に伴う民衆の負担と木曽騒動
- 32 高井鴻山の献金と小栗忠順の商社構想
- 33 上田藩士の議会政治提言と大政奉還
第五章 尊王か佐幕か(慶応三年~慶応四年)
- 34 尊王攘夷派の関東擾乱工作と赤報隊の結成
- 35 王政復古と「鳥羽伏見の戦」
- 36 赤報隊と小諸藩との追分戦争
- 37 江戸城中の評議と須坂藩主の自刃
- 38 衝鋒隊・撒兵隊・遊撃隊の脱走
- 39 衝鋒隊と信州諸藩との飯山戦争
- 40 小栗忠順の上州権田村土着と刑死
- 41 陸軍伝習隊の脱走と宇都宮戦争
- 42 北越戦争に出兵した信州諸藩
- 43 会津戦争に出兵した信州諸藩
- 44 榎本艦隊の脱走と蝦夷地占領
- 45 新政府軍の反攻と蝦夷地奪還
終章 幕藩体制の終焉(明治元年~明治四年)
- 46 元精鋭隊士族と大井川川越人足による牧之原開墾
- 47 元東山道軍大監察と塩尻出身者による小金原開墾
- 48 伊達家臣団による北海道開拓と新政府による農業振興策
- 49 平田派国学者たちの夢の結末
- 50 藩と同名の県になった信州十一藩
あとがき
巻末付表
- 付表1 幕府要職に就いた信州藩主
- 付表2 信州三藩主の老中在任関係年譜
- 付表3 本書に登場する信州人
- 付表4 信州人の政治活動関係年譜
- 付表5 本書に登場する主な人物(信州人以外)
- 付表6 長崎海軍伝習所卒業生が関与した事業
- 付表7 幕末期における改元
- 付表8 幕末期における征夷大将軍
- 付表9 幕末期における老中首座
参考文献
著 者
土屋 浩(つちや ひろし)
昭和19年(1944)長野県生まれ。昭和41年(1966)東北大学理学部卒業。
同年から平成17年(2005)まで地質調査会社勤務。その後、千葉県・長野県の郷土史を研究。千葉県在住。
○ISBN978-4-434-16857-4
信州人のための幕末史
土屋 浩/著
2012-07-08 初版発行
A5判 384頁
1,760円
歴史書
在庫なし
幕末に中央に出て活躍した信州人、信州関連の事件を取り上げながら徳川幕府崩壊の過程を概観する、これまでにない幕末史。「信州人の目」というフィルターを通すことで、幕末史が郷土史の延長として、より身近なものに。
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